真夜中の足音(中編)
息を吸い、鍵を開ける。
目が合って、安藤はまた笑顔になる。
陽子の険しい顔とは正反対だ。
「あ、これです!」
安藤は、自分の足元にあるダンボールを指差した。
「え!?これ全部?」
そこには、『淡路のタマネギ』と書かれていた。結構な大きさだ。
「はい!でも、まだ部屋にもう一箱あるんですよね・・・」
少し照れ笑い。そして、
「あ、重たいんで、中まで運びますよ!」
よっこいしょ。と言いながら、安藤はダンボールを持ち上げると、そのまま玄関に入って来た。
「あ、いいです!そこに置いといて下さい!」
思わず強い口調で言ってしまう。
安藤は、少しキョトンとした顔をするが、
「あはは、大丈夫ですよ!こう見えても力には自信があるんです!」
自分に気を使われたと思ったのか、安藤は、カラカラと笑うと陽子の静止も聞かずに、陽子の横を通り過ぎようとする。