わがまま姫♀



「お父さんだけど、入ってもいいかい」

「…うん」



力なくこたえると、ドアがあく音がした。



「…姫央、いいのか」

「…なにが」



あたしは布団をかぶったままこたえる。



「お父さんには、2人は両思いに見えたんだけどな」

「…そんなのあり得ないよ」

「そっか。…残念だな」



なんでお父さんが残念がんの。



一番残念なのは、他の誰でもなくこのあたしだよ。



「本当にいいんだな?」

「…うん」

「分かった。ならもうなにも言わないよ」

「………」



お父さんは静かに部屋を出ていった。



はぁー…。



なんでこうなるの?



婚約者じゃなくなったらあたし達、何の関係も無くなっちゃうよ。



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