もう少しだけ、あなたのそばに

ため息をつきながら、席に戻ると、

「花憐。先輩何だって?」

「・・うん。迎えに来るって。ごめん、私、先に帰るね。」

「え、花憐ちゃん帰っちゃうの?だったら、俺も帰ろうかな~。この二人の邪魔するわけにも行かないし。」

「いや、そういう問題じゃない。二人とも帰って。」

梨乃が慌てだす。

「梨乃、いいよ。もう、結果は変わらないから。」

「いや、だめでしょう。男と一緒に飲んでたなんてばれたら、外出禁止にされちゃうよ。」

ま、ありうる話だけど・・・・・。

「え、え、迎えにくるのは、花憐ちゃんの彼氏なの?」

「ちがう。」
「そう。」

私と梨乃の言葉が重なる。

「え、どっち?」

「違う。彼氏じゃない。」

「彼氏みたいなもんじゃない。」

「違う。」

「ま、今は、どっちでもいいけど、俺たちいない方がいいなら、隣の席に移ってるよ。」

隣を見ると、ちょうど、空いていた。


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