もう少しだけ、あなたのそばに

食後、


「仕事をしてくる。」


と言って書斎に篭った彼に一度だけコーヒーを出して、私もリビングのローテーブルに参考書とパソコンを広げて勉強を始めた。


ひと段落を付く頃、私のまぶたも重くなり、あくびをしていると、リビングに彼が入ってきた。


「花憐、眠いのか?」


「・・・はい。」


私が返事を返すと、すぐに私の体が浮く。


「あの、一人で行けます。」


私を抱きかえる彼に言うけど、


「いいから、黙って。」


そう言って、寝室まで歩き出す。


ベットに私を寝かすと、すぐに私の肩の下に彼の手が差し込まれる。


そして、優しく抱き寄せられ耳元で、


「おやすみ。花憐。」


「おやすみなさい。秋。」


そう、私たちは毎日同じベットで寝ている。

彼が求めてくれば、体を重ねることもよくあること。



でも、・・・・・・・・・・・・・・



私たちは、恋人同士ではない。

だって、私は一度も彼から好きだという言葉を聞いたことがない。


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