HIVに捕らわれて
ただ、僕をこの世界の淵に招きいれた女の子の事が気になりました。




HIVウイルスを保有しながら僕とセックスをし、消えていった女の子。


彼女が自分の病気を認識していたかどうかは、わかりません。


初老の看護士が言っていたように、彼女もまた、誰かを道連れにしようと、僕を選んだのかもしれないし、自分が感染者であることを知らずに、僕と寝たのかもしれない。




彼女が不在の今、そのことは確かめようもありませんでした。


確かなのは、彼女がHIVウイルスの感染者であるという事実だけでした。

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