HIVに捕らわれて
部屋の大きさと数はサキの要望でした。


彼女は今までにない、ゆとりのある斬新なプランを社長は望んでいると僕に説明しました。


富岡が窓口として紹介した彼女の意見を僕は最大限に取り入れました。


問題は僕ではなく、クライアント側にありました。


僕はサキが居る部屋に視線を向けました。


社長室の横でサキは待機しているはずでした。


きっと彼女は僕らの会話を聞いているはずです。


一言でもフォローの言葉があっても良いと思いました。


扉が開いてサキが入って来る事を期待しました。


そうあるべきだと思いました。


彼女は僕に謝るべきなのです。


彼女の一方的な理想論で僕の貴重な時間と信用を台無しにしたのですから。


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