HIVに捕らわれて

失踪

僕は、サキを待ちました。


待つこと以外に方法がありませんでした。


僕はサキの自宅の電話番号も、携帯の番号もメールアドレスも、知らないのです。


唯一知ってるのは彼女の職場の電話番号でしたが、富岡が居るかもしれない、ケアハウスに電話する気にはなれませんでした。


朝の光がだんだんと強くなり、陽の光が角度を増し、観葉植物の葉の影がくっきりとフロアに落とされる時刻になっても、彼女からの連絡はありませんでした。


サキが単に買い物に出たのではないことを僕は理解しました。

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