HIVに捕らわれて
明日の昼間、富岡が居ないだろう時間に電話をかければ良いだけの話なのです。


しかし、次の日も、そのまた次の日も彼女は不在でした。


彼女の横にいつも座っている事務員が不機嫌そうに、そう僕に伝えました。


一週間後、サキは退職していました。


愛想の悪い事務員は、何かを勝ち誇ったように、僕に伝えました。


彼女との繋がりが切れてしまいました。


僕に残された仕事はひとつでした。


図面を仕上げることです。

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