HIVに捕らわれて
僕は彼女をそっと抱き寄せ、


「会いたかった」


とささやいて細い首筋にキスをして、それから、しばらく何も無い部屋でずっと立ったまま抱き合いました。


サキの体は温かで、僕の夜風で冷えた体に心地よく、湿った息が僕の胸を暖めると、僕は言い知れぬ愛おしさがこみ上げ、時間の経過するのも忘れ、夜の帳に身を任せました。

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