トシノサレンアイ- 狼と仔猫 -
04.ハジマリ

数日前に、恋をして――

――数日後に、両想いになった。

そんな急展開、誰が予測しただろうか?

おぼろげな意識の中、あたしの中に入ってくるアズマさんを少しずつ受け入れていく。
口の端から、涎がツーっと一筋流れた。

理性の枷が外れてしまいそう……


「ま、待って……」

「いいから、俺だけ見てろよ」


アズマさんから視線を外そうとしたあたしの顔を、両手で優しく包み込んで視線を軌道修正させる。

ずるいよ。

格好良すぎるよ。

余計に吊り合わないって気持ちが大きくなっちゃう。

それに比例するように、好きって気持ちが大きくなる。

どうすればいいのか、わからなくなっちゃうよ。


「アズマさん……」

「アズマでいい」

「ア……あズマ……」

「また裏返った」

「だ、だって……ん」


また、彼が優しく、深く口付ける。

あたし、好きになっても……いいんだよね?
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