罪桜
「なおくん…」
誰も居ない部屋に、私の声と、テレビの音だけが悲しく、虚しく…
響いた…
ガチャ
勢いよくドアが開く音がした。
「なおくん?!」
思わずそう言ってしまった。
翔太くんがため息をつきながら入ってきた。
「翔太くん…。あ、ねぇ…なおくん…、なおくんはまだ帰ってこないの…?」
翔太くんは何も言わずに私を強引に抱き寄せた。
「ちょっ…ねぇ…なおくんは…?」
翔太くんの唇が私のと重なる。
舌が入ってくる。
翔太くんらしい、強引で荒々しいキス
「んっ……やめっ…や…だ……なおくんっ
おくん…なおっ…ん」
すると、遅れてなおくんが部屋に入ってきた。
なおくん「お前なにやってんの?離せよ、紗智のこと」
翔太くん「何って、見れば分かるだろ」
「いいから、離せって」
「なんでお前にそんな言い方されないといけないんだよ、なぁ。大体な、なおのそーゆう兄貴ぶったとこ、俺、無理なんだわ」
「黙れよ。いいから離せって殺すぞお前」
二人はまた出ていった。
今度は…私のせいだ…
もし私が、眠ったりせずに帰っていれば…
こんなことにはならなかったのかもしれないのに…
もう30分ほどたっただろうか
時刻は深夜2時をまわっていた。
待ちきれずに、ドアのそばに座り込んでいると
コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。