おかしな二人


ここまでガン見されちゃあ、どう誤魔化しても逃げ切れないだろうと思い、あたしは携帯を手にそそくさと自室へ引っ込んだ。

その背中に、水上さんのガン見ビームがガンガン打ち込まれ穴が開きまくる。
ぽっかり開いた背中の風穴を気にしつつ、凌へ電話をした。
心なしか、背中の空洞たちを冷たい風がぴゅうっと吹き過ぎた気がした。

水上さんのガン見ビームに、ぶるぶると一度身震いをし凌が出るのを待った。

「もしもし、あたし」
『うん。忙しかったか?』
「ううん。平気……」

とは、言い難いが、説明が面倒なのでスルー。

「仕事の事だよね」
『うん。あさって、都合ついたよ。ただ、時間が夕方近くになりそうなんだ。大丈夫か?』
「夕方かぁ……」

水上さんの仕事が終わるのは、確かに遅くなる予定だけれど。
なるべく、余裕を持った行動をしたかった。

『相手がどうしても、仕事の都合がつかないらしくて』
「そっかぁ」

そうなると、しかたないよね。
これも借金返済のため。
なんとかちゃっちゃと済ませれば、どうにかなるでしょう。

あたしは、安易な考えで返事をする。


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