おかしな二人
アスファルトを蹴るもつれる足。
頬を切る冷たい風。
行き交うたくさんの人。
全部が、あたしの行く手を遮るみたいに邪魔をする。
おねがいっ、どいて!
人ごみを掻き分けるように、必死で足を前に出す。
けれど、暗闇と人工の灯りが犇めき合う中に、彼の背中を見つけられない。
「水上さんっ!」
闇雲に叫んでは、キョロキョロと辺りを窺い、駅へと足を向けてみる。
「水上さんっ!!」
何度も人にぶつかり、躓き、転びそうになる。
迷惑そうな顔を向けられたり、舌打ちをされても、あたしの足は止まらない。