おかしな二人
「ワイン、俺が選んでもいいか?」
「もちろん。ワインの種類も知らないあたしが、選べるわけもないし」
あたしは肩を竦める。
料理は、どうやらクリスマス用のコースがあるらしい。
それに合わせたワインを凌が選ぶ。
少しすると、小さなバスケットに乗せられた、自家製のパンと凌の選んだワインがテーブルへと運ばれてきた。
大きめのチューリップグラスに、深紅のワインが注がれる。
「改めて、メリークリスマス」
掲げるグラスに、あたしも従う。
「なんか、あたしって、場違いな気がするんだけど……」
周囲をきょろきょろ見ることさえ憚れるような雰囲気に圧倒され、あたしの体は小さく縮こまっていく。