おかしな二人
それより、こんな凄い物を貰う人ってどんな人だよ。
きっと、相当綺麗で生活水準も高くて、ミュージシャンの水上さんとちゃんと釣り合うくらいのお方なのでしょうね。
生活レベルを想像し、自分との格差に言葉も出ない。
「ちょっと着けてみてくれ」
「えっ?! あたしが?」
「他に誰がおるん」
「え……、いや、そうだけどぉ……」
水上さんはあたしの許可も得ず、店員さんにその商品の試着をお願いしている。
仕方なく、あたしは渋々首だけを提供することに。
要するに、マネキンだ。
それにしても、あたしなんかの首に着けて確認するより、この綺麗な店員さんが着けたほうがよっぽどいいと思うんだけど。
綺麗でスマートに揃いのスーツを着込んだ店員さんたち。
身長や体重制限でもあるんじゃないかと思うほど、みな一様にスタイルがいい。
ついでに言えば、ナチュラルなメイクもバッチリだ。
あたしなんて、サラッとファンデを塗って、安物の目立たない口紅を引いただけだけ。
普通も普通。
あまりに普通すぎて、人混みに紛れたら探してもらうのはきっとひと苦労だろう。
ウォーリー探すより難しいぞ。
おかげで、つい恨めしそうに店員さんを見てしまう。