おかしな二人
白い手袋をつけた店員さんは、恨めしいあたしの表情などサラリとかわし、上品な笑顔を向けてくる。
「贈り物ですか?」
水上さんを見て訊ねたあと、もう一度あたしにその上品な笑みを向けた。
きっとあたしが彼女で、その彼女へのプレゼントだとでも思ったのだろう。
大きな勘違いだ。
あたしは、慌てて首を横に振った。
「とととっ、とんでもないです」
あたしは、あくまでマネキンですから。
たまたま近くに便利な首があったんで、ちょっと試しに着けてみたらどんな感じになるかなぁ、と雇い主さんがかーるく思っただけのこと。
誤解しないで、と必要以上に首を振ったあと、店員さんに促されるままコートの前を開けそれを着けた。
貧乏ったらしいニットの襟元には、キラキラと輝くペンダントが光る。
鏡を覗き込み、ほえぇ~、と思わずその高級品に溜息をついた。
高級すぎて、自分ではほんの少しでも触れることができず、ただされるがまま首にぶら下げる。