おかしな二人


あたしは、水上さんがどんな女性にそれをあげるのかを想像した。

パッと最初に浮かんできたのは、凌の元カノの奈菜美さんの顔だった。

スタイルが良くて、モデルの凌と一緒に居ても違和感どころか、逆にお互いを高めあうほどの存在感を放ち。
且つ、性格の良さが滲み出いてるその表情や仕草、加えて色白で細い体つきには、きっと凄く、とっても、よぉく似合う気がした。

それを大いに想像したあと、鏡に映る自分を見てガックリと落ち込む。

はぁ……。

いくら代役のマネキンだとは言え、チンチクリンなあたしには、こんなのちっとも似合わないよ。
しかも、貧乏ニットがそれを余計に際立たせてるし。
情けなくて、段々この場に居る事がイヤになってくる。

早く、出たいな……。

水上さんは、あたしをガン見したまま、顎に手を当て未だ試案顔。

「あのぉ……。どうするの?」

あたしは、早く出たいがために、催促するように訊いた。

水上さんは、う~ん、と唸り声を上げたあと、パッと首から視線を逸らしあたしの目を見る。



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