おかしな二人


「もう一度訊く」
「う、うん」

急に目をガン見されて、驚いた。

「これ、明が貰ったら嬉しいか?」
「あたし……?」

う~ん、と今度は、あたしが思案する番。

知らない人、というか。
さっき言ったみたいに、上辺だけの人に貰ったら引くよね。

けど、もしも水上さんからだったとしたら……?

ガン見されている視線から、さり気なーく目を逸らし、勝手な妄想を始める。

例えば、会う約束をして、一日一緒に居た後、帰り際に照れながらも不器用に小箱を渡される。
開けてみたら、高級アクセサリー。
明に似合うと思って。
ポリポリと頭をかき、俯きながら照れ隠しの怒り口調。
それでも、想う気持ちは充分に伝わって、嬉しさに頬を染める、なんて……。

あわわわわっ!

考えたら、急にこっぱずかしくなってきた。
あたし、なに想像してんのよっ。

なぜだか急に体中が熱を持ってきて、変な汗をかいてしまう。
夏にニットを着ちゃったみたいに、コートの中は蒸し風呂状態だ。


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