おかしな二人


そこは、今流行りのカフェなんて言葉は到底似合わない、昔ながらの純喫茶。
木枠の重そうなドアを開ければ、カウベルが低めの音を出して迎えてくれる。

中は少しばかり高級そうで、席に居るのはおじ様と言うか、サラリーマンが多い。
みんな一様に新聞を広げ、テーブルでは煙草の煙が灰皿から立ち昇り、それが決まりとでもいうように、みんながみんなコーヒーを飲んでいる。

たまには、甘ーいココアを飲んでいるおやじが居てもいいと思うんだけど。

あ、メタボを気にしているから甘いのは避けてるとか?
なんて……。

やっと休めると安心したせいか、思考がくだらない事を妄想させ始めた。

「なかなかに渋い店だね……」

一通り店内を見渡し、若干の皮肉も込めて笑ってみた。

その皮肉に気付いてるのかいないのか、こういう店のが落ち着くやんか、とドサリ空いた窓際の席に腰掛ける。

確かに、水上さんの知名度は意外と高いらしいから、その辺の若者溢れるカフェに入ったところで、落ち着いてお茶などできないだろう。


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