おかしな二人
「凌は……、責任を感じちゃってるみたいなんだよね」
あたしはなんでもないことのように、軽い口調で話し始めた。
「責任?」
「うん。あたしに全部の借金背負わせて、自分はそれを知らずに今日まで楽して来たって、凄く辛そうに言うんだ……。なんか、参っちゃった」
語尾に、取って付けたような笑いをくっ付ける。
なのに水上さんは、真剣な顔をしてあたしと会話を続けた。
「借金は、確か兄貴のおやじが作ったものやんな?」
「うん、そう。だから、あたしには関係のないことと言ってしまえばそれまでなんだけど。でも、こうなるには、色々あったから……」
山崎の父が、凌に暴力を振るっていた事実。
あたしだけ受けなかったその暴力。
後悔しているのは、凌だけじゃない。
凌一人にだけそんな思いを味あわせてしまった事を、あたしだって後悔しているんだ。
今考えればそういう思いがあったからこそ、あたしは素直に借金を背負い続けているのだろう。