おかしな二人


やっと着いたマンション前。

零れ出る涙を拭いさり、一度大きく深呼吸してそっとドアを開ける。

中は静まり返っているから、英嗣は寝ているのかもしれない。
廊下を抜けリビングのドアを開けると、携帯を握り締めたままソファに腰掛けている姿が目に入った。

「起きて……たの?」

まさか、リビングにいるとは思わずに少し驚いた。

「おう。明から連絡が来るかと思おて、待っとった」
「そっか。電話しなくて……ごめん」

ドアの前に立ったままで居ると、どないしたんや? とソファから立ち上がり近づいてくる。

「なんか、あったんか?」

目の前まで来て、もう一度訊ねられたけれど、あたしは首を横に振った。

英嗣は、そうか……と小さく呟き視線を少し落す。


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