おかしな二人
「ほな、またね」
「おいっ、哲。俺には、言わんのかいな」
「けっ。おめでとさん」
哲さんは、御節を牽制された仕返しとでもいうように、それだけ言って出ていった。
「なんやねん」
不服そうにしながらも、結局最後には笑っている英嗣。
メンバー同士の仲のよさって、こういうものなのかもしれない。
リビングへ戻って、改めて英嗣へ向き合う。
「英嗣」
「ん?」
「明けまして、おめでとう。今年も一年。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げると、少し照れたような顔をする。
「おめでとう。よろしゅうな」
「あっ、そうだ」
あたしは、ずっと渡し損ねていた物を部屋にとりに行った。