曖昧HONEY



「待たなくていいから。」


私の言葉を遮って。

なぜか、怖い顔で私を見つめる龍ちゃん。



「お前は、寝てろ。」

「でも…」

「俺に合わせなくていいから。お前は、自分の生活を優先しろ。」


私の生活って…



「最近、授業中の居眠りが目立つんだって?」

「なっ…」

「今日は“繁華街にいた”ってことで呼び出しくらった…とか?」

「な…んで、それを…」


言ってないのに。

なんで筒抜けなわけ?

焦りまくる私を呆れたように見下ろしながら、龍ちゃんは続ける。



「俺は“卒業生”なの。知り合いだっているし、情報は普通に入ってくる。」


……あ、そっか。


「居眠りは、俺を待って夜更かししてるからで、呼び出しは、この前俺を迎えに来たから、だろ?」

「………。」

「俺のことはいいから。まずは自分の生活を安定させろ。」


龍ちゃんは、正しい。

私のことを思って、言ってくれてるのはよくわかる。

だからこそ、返す言葉は何もない。




でも…


これじゃまるで


“保護者”だよ―――


< 8 / 50 >

この作品をシェア

pagetop