曖昧HONEY
「…じゃあ、俺は行くから。」
玄関にて。
すっかり身支度を整えた龍ちゃんをお見送り。
明るい茶髪に、たくさんのピアス。
髪型も服装も。
まさに“イマドキの若者”って感じのくせに…
「火の元と戸締まりはちゃんとしろよ?あ…あと、電気の消し忘れには気をつけること!」
言うことは、まるで“父親”みたいだ。
明らかに、私のことをコドモ扱いしている。
「12時には寝ろよ?高校生なんだから…」
高校生って…
自分は絶対に寝てなかったよね?
夜遊び三昧だったの、知ってるんだから。
「あとは…」
まだあるの?
いい加減、うんざりしてきたよ。
「自分の部屋で寝ろよ?」
「…へっ?」
「間違っても、俺のベットでは寝るな。つーか、部屋には立ち入り禁止。」
……また、か。
龍ちゃんにとって、それが一番大事なんだもんね?
そんな真剣な顔で言わなくてもわかってるよ。
「わかりましたっ!ハイ。いってらっしゃいっ」
「あっ…おい!ナオ?」
バタバタとわざとらしい音で走って。
私は自分の部屋に駆け込んだ。
……これが、
私の“結婚生活”。