DL♥ロマンティックに抱きしめて。
私の言葉に、先生が手に持つコップをそっとテーブルに戻す。
「…あぁ。全てを伝えたい。」
そう言って、静かな室内に先生の声が響き始めた。
「…俺がまだ違う大学病院で勤務してた時の事。
当時の俺は、まだ患者に対して何かをするというよりは、ドクターの助手、ようはアシスタントをしていた。
患者のデータを調べ上げたり、処置に取り掛かる直前の段階までを担当していたんだ。」
…アシスタントって事は、”歯科衛生士”みたいな感じだったのかな?
――だとすると。
”あの出来事”は直接先生の手で起こった事では、無い。
そう理解した瞬間、フッと肩の力が抜けるのを感じる。
そんな私に先生は言葉を続けた。
「…上から散々コキ使われるし、覚えなきゃならない事ばかりで、正直、大学病院で働く事に嫌気が差していた頃だったと思う…。
目まぐるしい毎日だった。
そんなある日…。
明日の患者データを確認してた時に、
ある一人の患者が目に留まったんだ。」