DL♥ロマンティックに抱きしめて。


「…流石ね。」

「…そ…そうだね。私もビックリ。」


ポカンと口を空けたままの二人の姿に堪えきれない笑いが漏れる中、目の前の道に足を進める。

着いた先は、以前勉強会の際に二人が話していた女子なら誰でも憧れるらしいカフェ”ルーフェ”。

料理、デザート共に味が良く人気があるものの、一つ一つの金額が高く、夢のまた夢だと話していたのを思い出し、”ご褒美”としてならいいだろうとココに決め、昨日のうちに予約をしていた。

広がる緑に白を貴重とした建物。
外国をイメージしたそのデザインは男の俺からしても好印象を受ける。

白いテーブルに並ぶは色とりどりのデザート。

それを目にし、「うわぁ~…」と声を上げるソノ姿は、ココにして良かったという満足感を俺に与えた。


「…二人とも。デザートは後だ。そろそろ席に着かなきゃ。」

「せ…席?」


きょとんとした表情で俺を見る。
見渡す限り、大勢の人がいるこの空間で空いている席など、一箇所も無い。
それを顔に表す姿に、クスッと笑みがこぼれた。


「心配するな。ここの二階があるのは知ってる?そこに予約してるから。」


そんな俺の声に「そ…そうだったんだ!」と驚きながらも嬉しそうに微笑むくみの肩をそっと促し、二階へと続く階段へと足を進めた。

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