素敵彼氏の裏の顔【番外編】
あたしの好きな服の店を見たり、おしゃれなお菓子の店を見たり。
隼人は淳ちゃんと同じ人間だと思えない。
手が触れるたびにドキドキし、もっと寄り添いたいと思った。
憧れだった。
東京よりもずっと小さくて狭い街だけど、この街を好きな人と歩くことが。
昔は淳ちゃんと歩いていたけど、デートっていう雰囲気ではなかった。
その時はそれで嬉しかったのだけど。
今の隼人は昔の隼人と全く違う。
服装も、歩き方も、性格も、言葉使いも。
おまけに、帽子のせいで目元はあまり見えなくて。
だから、隼人の存在に気付く人もいなかった。
いたとしても、二度見されるくらいで。
安心して街を歩けた。