素敵彼氏の裏の顔【番外編】
「美優、カウンター来るか?」
行きたくもないのに、ぐいぐい手を引っ張る淳ちゃん。
空気を呼んでと本気で思う。
カウンターへ連行されるあたし。
そんなあたしに気付いた隼人が、少しだけ笑顔をくれた。
やめて、こんなところで悩殺スマイルは!
だって仕事中の隼人、いつも以上にかっこよすぎだから!!
「美優の友達?
いつも一緒にいる子だよな?」
淳ちゃんが怯えている楓に問答無用で話しかける。
楓は遠慮がちに「はい」と答える。
「美優と橘が世話になってるな。
橘はああ見えてもマジ性格が良くて……」
淳ちゃんのマシンガントークを聞きながらあたしはため息をついた。
淳ちゃんもここは空気が読めているから、隼人の悪口を言わないのかもしれない。
過去の武勇伝を語ったりしない。
隼人は、今は真面目な優等生だから。