花火
 

聞いたら聞いたで、また聞きたいことが増える。


それはやっぱり好きな人のことだから知りたくて、際限がないんだよね……。



「リン、何考えてんの?」



「えっ?いや、別に……」



「……ふぅん?隠し事?」



「!ちっ、違っ」



慌ててしまった私を見て、先生はくくっと笑う。



「ま、何もかも全て話せとは言わないけどね。話したくないことだってあるだろうし」



先生は私の手を弄る手とは反対の手で、私の頭をぽんぽんと撫でてくれる。


先生に撫でられるのも好き。


猫とか犬とかが気持ち良さそうな顔をする気持ちがすごくわかる。


……そして、素直になる私がいる。



「……隠し事とかじゃなくて……。ちょっと気になることあって。……何で、私の前ではタバコ吸わないのかな、って思って」



「……あぁ、ね」



何か思い当たる節があるのか、先生が考えるような仕草をした。


え、やっぱり、私の前だから吸わないようにしてるとか?

 
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