花火
 

「あれ?何か嬉しいことでもあったか?顔、緩んでるけど」



「!……そんなこと、ないです」



本当は図星だったけど、悟られて心の中を読まれないようにと、つい素っ気なくしてしまう。


ほんと、かわいくない。私。


でも、“先生に会えて嬉しいから”……なんて言えるはずないし……。



「そう?ふぅん」



「!」



ぽんっと頭に先生の手が乗る。


それと同時に、私の心臓もぽんっと跳ねた。


慌てて先生のことを見上げると、そこには私をからかうような笑顔があって、それに対しても、また、私の心臓は元気に跳び跳ねた。


……まさか、バレてる……わけじゃないよね?


ドキドキと鼓動が速くなっていく。


もう……顔、熱いよ。


そんな私を見てか、また先生はくすりと笑った。



「……そうだ。この前の本はもう読んだ?」



「あ……、まだ、です」



「2週間くらい経つか……?結構時間かけて読むんだな?まぁ、分厚い本だから時間もかかるんだろうけど」



「えと、勉強もあるし……少しずつ読むのが好きなので……」



……なんて、嘘。


本当はとっくに読み終わってる。


すごくおもしろくて、読み始めたらあっという間だった。


感想文も……すぐに書けた。


後は先生に出すだけだけど──


あの答えがわかってないから。


……先生が私を気にしてくれてる理由。


先生の心の中は何も見えてないけど、この2週間で感じることは、私の頭の中が先生のことで溢れてしまっているということ。


そして……私が先生のことを好きになったってこと。


……“本気”で。

 
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