花火
視線を感じる。
背中を向けているはずなのに、絶対、私だってバレてる。
先生が私を見てる──……。
「……田辺先生?凛……、中村さんが何か?」
「!」
まっ、雅也のバカっ!
こんなとこで私の名前を出さなくても……!
雅也は私のことをじっと見る先生のことが気になったらしく、疑問を投げつけたらしい。
今回ばかりは、素直に思ったままのことを口に出す雅也のことを恨んだ。
もう!バカバカバカ!
「……いや。その子……、中村さんだっけ?大丈夫か?何か顔色悪く見えるけど」
「え、凛、体調悪いのか?」
「っ」
雅也の手が私の頭をそっと撫でる。
その手は変わらず優しい。
でも、今私が欲しいのは、この手じゃない──。
「や、大丈夫……、大丈夫だから、離れて、雅也──」
雅也の名前を呼んだ瞬間、マズイ!と思った。
はっと咄嗟に先生の方を振り向くと、先生は「なるほどね」と言うかのように、頷いたように見えた。
……そして、その目は冷たく感じた。