永遠の初恋を君に
そんな事を考えているうちに予鈴のチャイムが鳴った。
「あ、そうだ。転校生ここの隣だからね~!優しくしてあげなよ~!それじゃ!!」
あゆは笑いながらそう告げて自分の席へと戻っていった。
…あゆ、絶対楽しんでる…
転校生かぁ。
私、知らない人と話すの苦手なんだけどなぁ…
今はあゆと仲良くなっていろんな人と話せるようになったけど…
自分から話すなんてとても出来ない。
チラっと隣の席を見たら転校生はまだ席に着いてないみたいだった。
購買に行ってるのかな…??
でもそれから転校生は次の授業も帰りのHRにも帰ってこなかった。
今日来てるんだよね…?
少し気になりつつも私は帰りの支度を始める。
そんな私に
「こら~ここ、今日日直だよ~」
とあゆに声をかけられた。
「あ、そっか。」
はっとする私に呆れたような、でも少し優しくあゆが笑った。
「も~ここは~」
私、あゆのこういう表情好きだな。
そんな事を思いながら、同じ日直の子に謝った。
「ごめんね。後は私がやるね。ありがとう。」
同じ担当の子が帰ってから、私が残りの仕事をしていると、
「ここ~今日私妹の迎えがあって待てないの。ごめん!この通り!!」
あゆが申し訳なさそうに手を合わせた。
「全然大丈夫だよ!気にしないで。桃ちゃんによろしくね。」
私が笑うとあゆも笑って
「うん!手伝えなくてごめんね。また連絡する!」
と手を挙げて教室を出ていった。
共働きのあゆの両親の代わりに、あゆはいつも小さな妹の桃ちゃんの面倒をみている。
そんないつもお姉ちゃんみたいに優しくて、頼れるあゆだから皆からも慕われてるんだろうなぁ~。
そんなことをぼーっと考えながら作業を続けた。
「後は先生に渡しに行くだけっと。」
やっと終った...。
まぁ、どうせ暇だもんね。
少しくらい働かないと、
何て心の中でぶつぶつ唱えながらも職員室へと向かった。