【完】ヴァンパイアとチョコレート
「ミーナ!?一体何を……!?」

「ライル君!私……十字架作って……」

ミーナは木の葉の上でぐったりとしているピクシーを抱きながら言った。

「……そうか……!よし、今の内だ!」

ライルがミーナの手を取り何事かつぶやくと再び青い光が辺りを覆う。

その光に包まれて二人の徐々に姿が消えていく。

二人が消えたのち森にはアンバードだけが残された。

十字架を受けた胸からは、とめどなく血が溢れている。

アンバードは十字架を掴む。

「ぐっ……!!」

ジュッと手のひらが焼ける音がする。

アンバードは苦悶(くもん)の表情で十字架を森に放り投げた。

荒い息をしたアルバードは二人が消えた先を睨みつけた。

「くっ……オレとしたことが油断した……だが、次はこうはいかない……」

深手を負った獣のようなうめき声は闇の中に溶けて行った。
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