【完】ヴァンパイアとチョコレート
「君が走るところを見て、とても綺麗だったと言っていた。人間は……ミーナはとても美しいと……」

ルネはミーナをじっと見て言う。

「君の血を飲んでご主人は、ヴァンパイアと人間の間で揺れている。キングの血がある限り、ご主人は人間にはなれない」

ルネはミーナをじっと見て続ける。

「ご主人は君の事を大切に思っているから、もう君の血を決して飲まない。ミーナ、キミにできることはご主人の前で血を流さないことだ。君の血の匂いを嗅ぐとご主人はヴァンパイアの本性に狂わされてしまうから……」

静かなルネの言葉を聞いて、ミーナは唇をかみしめてただその場に座ったままだった。



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