【完】ヴァンパイアとチョコレート
「でも、どうして戻ってこれたんだろう?」

ミーナは不思議に思いながらそう聞くと

「あっちで眠ったからだよ。向こうで眠りにつくとこっちに戻ってこれるんだ」

ルネがそういって納得した。

(じゃあワインを飲んでそのまま寝ちゃったのかな……)

ライルは大きく息をついてミーナの目をじっと見つめた。

「このままだと危ないな……」

「えっ?」

「アイツにお前の存在がバレてしまったからな。きっと狙ってくるだろう……」

「大丈夫だよ。アンバードさん悪い人じゃなさそうだし……」

「お前はアンバードの事を知らないからそんなことが言えるんだ!」

ダークブルーの瞳がギッと鋭い光を放つ。

ミーナはビクッとして固まってしまう。

彼がこんなに感情を露わにするところを見た事が無かった。

「ご主人、落ち着いて……」

ルネがライルを気遣うようにそっと言った。

「……悪い」

ライルは小声でそういうとティーカップを下げて台所へ向かった。



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