蜜事は研究室で
「……は?」



目が点、とはまさにこのことを言うんだと思う。

わたしは抵抗するのも忘れて、目の前のシツチョーをひたすら見つめていた。

彼は掴んでいたわたしの腕を離し、小ビンの蓋を取ると、イイ笑顔でこちらに差し出す。



「てなわけで、飲め」

「はあ─────!!?」



とっさに後ずさり、ビタン! と壁に背中をぶつけた。

彼は小ビンを差し出した格好のまま、こちらに近付いてくる。


ちょっ、来るな!! マジで来るな!!!



「しっ、しつちょ、本気ですか?!」

「俺はいつだって本気だ」



ああそうだこの変人はいつでも本気だ!

わたしはまた冷や汗ダラダラで、だけどそれ以上動くこともできず、引きつった顔でシツチョーを見る。

てか、惚れ薬て!! ありえるのかそんなの!?
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