蜜事は研究室で
「あ゛~~っもう面倒くさいな!!」



言うが早いか、シツチョーは固まるわたしの顔からメガネを奪うと、ポイッとそれを後ろに放り投げた。


えっちょっ、何してくれてんのこの変態?!


そしてわたしが文句を言う前に、再びがしりと右の二の腕を掴まれて。

突然のそれに反応できないでいると、シツチョーが小ビンの中身を口に含んだ。



「な……っ」



そのまま、小ビンも投げ捨てたシツチョーのもう片方の手は、わたしのあごへ。

ぐいっと、無理やり上を向かされた。



「──ッ、」



すぐ目の前に、シツチョーの端整な顔。

深く、くちびるが塞がれる。



「んぅ……っふ、」



ぴったりと合わさったところから、甘ったるい液体が、流れ込んできて。

わたしは思わず、こくりとそれを飲み込んだ。

それを確認したのか、ゆっくりと、シツチョーの顔が離れる。



「……な……」



きっと、今のわたしの顔は真っ赤。

じわりと、涙まで浮かんできた。



「ななななっ、何するんですかっ?!」

「うるさいな。きみがおとなしく飲まないからだ」



しれっとそう言うシツチョーは、まったく普段と同じ飄々とした態度を崩さない。

1度は離れかけた手が、今度は確かめるように、わたしの頬に触れた。

ぴくんと、肩がはねる。
< 18 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop