サンタ…クロース?
「天界の奴ってのは全員60歳がこっちで言うところの成人なんだ。先代のサンタは、人間界で言ったら化け物の類、217歳だ。そして、天界には死というものは存在しない。いつだって現役なんだよ。」

おいおい…信じる人間がバカじゃないか?そんなもん

「で…なんで俺のところなんだ?さっきも言ったが、普通は小さな子供のところへ行くもんだろ?」

「本当は誰でもいいんだよ。それをあの糞親父は…『夢を与えるのは子供たちだけでいい』なんて言って実行してるから、そんなイメージが植えつけられてるんだ。…ったく」

男は一人ごちる。
そしてフィルターギリギリまで灰になった煙草を灰皿の上で揉み消す。

「子供たちっていう制限は無い、あるのはノルマの人数だけだ。」

「で…そのノルマの人数の中に、俺が選ばれたってわけか?」

「いや。手当たり次第に家を回って、ノルマに達したら帰ろうとしてた。」

…運が悪かった、と言うべきだな、こりゃ。

「はぁ…分かったよ、欲しいもの言えば帰ってくれるんだろ?」

「いや、まだノルマに達してないから帰れない」

「この家からだ!」
何を勘違いしてやがる。このバカ野郎は。

「…あぁ、そういうことか。欲しいものさえ言ってくれれば次の家に向かう。」

「んじゃあ、言うから帰ってくれ」

さっさと帰ってもらわないと居座られかねない。
ここは適当にあしらっておくしかないようだ。

「おぉ!やっと信じてくれるか!」

男は今までのムッとした顔から一変、歓喜の表情に変わった。

「そうじゃない!言うから帰ってくれって意味だ!」

「………そうか。まぁ、ノルマが減るんならいいか。」

さらに一変、嘆息へと。

「で、お前の欲しいものはなんだ?金か?女か?それとも名誉か!」

…今度のサンタは服装通り、黒い性格らしい…
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