流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
 エサのトレイ目掛けて、水を押し出す。


 きゃん、きゃんきゃん!


 久しぶりの水にクドリャフカは喜んだのか、そんな声が聞こえてきた。

 けれど、スプートニクの中から聞こえる声はどこか遠い。


「もう、いいですよね?」


 ぐいっ、とエンジニアに背中を押され、スプートニクの前から離れる。

 エンジニアはさっさとエアホールを元通りネジ止めして、これで本当にさよならだった。


「クドリャフカ……」


 スプートニクの窓にぴったりとくっつき、クドリャフカを抱きしめるように両手を広げ、別れを惜しむ。


「クドリャフカ、大好きだよ」


 きゃん
 きゃんきゃん!
< 104 / 132 >

この作品をシェア

pagetop