流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
 みんな、空を見上げていた。

 高く高く昇ったロケットはもう見えず、ただ青く染まった空が見えるだけなのに、目を逸らせない。


「パラシュートが下りてくるのが見えても、着地するまでその場を動くなよ」

「はい……」


 チェルノコフさんが注意をするが、まばらに返事が返ってくるだけだった。

 まだまだ帰ってこないと理解しながらも、空を見上げずにはいられない。

 あんな勢いで上昇するロケットの内部はどんな衝撃だろうか。

 狭いケージの中、逃げられもせずに苦痛を受け入れるしかなく堪え続けている。

 体にたくさんのセンサーをつけ、その苦痛を数値化記録されながら。

 怪我をしてはいないだろうか。

 きっと怖い思いをしているだろう。

 僕たちを恨むだろうか。

 それとも、恨むべき相手が誰かもわからぬまま、また僕らにしっぽを振るのだろうか。

 輝かし歴史のはじまりだ。

 なのに、僕は……
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