流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜

┗呼び声に応えて


「全員、もっと下がれ!」


 チェルノコフさんが昇降機で下りてくる。

 命令に従い、発射に備えて全員が退避した。

 怒号が飛び交い、最終確認が行われる。


「ロケット発射準備完了! カウントダウン」



 秒読みが始まった。



「3」



「2」



「1」



「0」



 カチッ



 エンジンのスタートボタンが押し込まれ、エンジンに火が入った。


 エンジンから吐き出される火炎はもうもうと煙を立ち込めさせ、熱風が離れたここにまで届き、髪を乱す。

 一気に加速するロケットは耳をつんざく轟音と共に夜明けの空を上昇していく。

 煙の尾を引くその流線型の巨体は、まるで彗星だ。

 上昇する彗星は蒼みを増す夜明けの空に飲み込まれ、見えなくなった。
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