流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜

┗傷む夢

 ひしゃげた機体から救出されたのは、もうひしゃげた二匹の体だった。

 もう動かなくなり鼓動も聞こえないのに、まだ温い。

 皆すすり泣きながら、別れを惜しんだ。

 けれど、皮肉なことにデータレコーダーだけは無事に回収された。


「二人の犠牲は無駄にしない」


 所長がはっきりと言い切った。


「はいっ!」


 全員がしっかりと頷く。

 僕は、凍りついていた。



 引き返す道など、はじめっからなかった。

< 39 / 132 >

この作品をシェア

pagetop