流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜

「今度は、もっとしっかりとしたロケットを設計をするわ。何が問題だったのか、原因を究明して……」


 ロケット基地の一角につくられた二匹の墓。

 その前で膝を抱えていると、花を持ったユリヤさんが隣にしゃがみ込む。

 他のみんなは、やらなければならないことが多くあるから悲しみにばかり浸っていられない。

 墓を掘り、近くて見つけてきた石を置き、しばし黙祷を捧げただけだ。

 悲しみにばかり浸っていられないのは、ユリヤさんも同じだろう。

 彼女は設計チームの有能な科学者だ。

 みんな、目を赤く腫らしながら働く。

 働かなければならない。

 けれど、僕に出来ることはせいぜい基地からの撤退準備をするぐらいで、なにもない。


 僕はただの犬番。

 デジクとリサがいなくなって、基地にいる意味もなくなってしまった。

 僕は二人のために来たのだから。
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