その衝動の果て…【完】
僕は極度のマザコンだった。それはあの時家を追い出され、直接2人っきりで

会う事を禁止された今でも変わっていない。

母を狂おしいほど好きだという事実。

それはどんなに咎められても、どんなに罪悪感に苛まれても…

変わらなかった。


僕はオカシイ。母と一緒に居られたことは、僕にとって喜びでもあり、

それと同時に苦悩でもあった。

一緒に居る事を許されなくなっても、それでもこの感情は変わらず、

それと折り合いを付けながら生き続けるしかなかった。

目の前にいなくても、その気持ちが変わることはなかったから…


この感情をどうやってコントロールしたらいいのか…

その他の事は能力(ちから)のおかげでなんでもうまくできた僕にとって、

思い通りにならないことがあるのは許せなかった。


僕が僕として生きることも許されない。かといって死ぬことも許されない。

カノジョへの衝動と闘いながら、カノジョの命が尽きるその瞬間までただ生き永らえる。


その衝動の果てに見たものは…

目的もなく罪悪感と嫌悪感に苛まれた自分と折り合いを付けながら、

ただ生きながらえるだけ…


でもカノジョの命の灯に陰りが見え始めた時、僕の運命も、オヤジの運命も、

カノジョの運命も予定とは違う変化を見せ始めた…

それは誰の手によるものなのだろう。

アイツがまた介入してきているのか?それとも…


【END】


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