恋はとなりに
恋愛経験
4年の片思いに終止符を打ったことをカケルくんに報告しようと思う。
誕生日の次の日の夜、カケルくんに電話した。
「もしもしカケル君?さくらです。」
「さくら、昨日はずいぶん冷たかったじゃねえか。」
カケルくんは昨日会ったときのことを根にもっているみたいだった。
「それはごめんなさい。
今日は報告があって電話しました。」
「おう、なんだよ改まって。」
「・・・・本当は顔見て言いたいからやっぱり今日はやめる。」
「なんだよ、じゃあ出てこいよ。俺今実家にいるんだよ。」
あたしたちは例のベンチに集合した。
あたしは桃子ちゃんにもらったピンクのTシャツを着ていた。桃子ちゃんから勇気をもらえる気がして。
カケル君をみてあたしは決心が揺るがないうちに一思いに話した。
「カケル君に恋するのもうやめました。なのでこれからはただの隣に住む女の子になります。あたしはこれから新しい恋をしていく。だからご安心ください。
別に心配してないか。。。」
カケルくんは呆気にとられているのか、どうリアクションしていいかわからないのか。しばらく固まっていた。
「でも、まあカケルくんは今までとあんまり変わらないよね?あたしの気持ち拒絶してきてたから。むしろホットした?」
あたしが聞くとカケルくんはあいまいな返事をした。
「そっか、なんかさみしい気もするけど、っていうのも変だし。よかったなっていうのも違う気もするし。」
と、カケル君はとっても困っているみたいだった。いつもの調子が狂っていた。
「話はそれだけ。今までありがとう。よくわからないけど。一応お礼しとく。初恋の人だからね。4年間片思いしてたよ。」
「他に好きな人ができた?」
カケルくんが聞いてきた。
あたしは首を横に振った。
「いないよ。まだそういう人には出会えてないんだけど。大学でこの間やっと友達ができたから、交友関係をもっと増やしていくつもりだよ。20歳になったので、去年と違う一歩を進みたいの。」
「そっかさくらも二十歳になったのか。。。お祝いしてなかったな。欲しいもの言えよ、なんでも買ってやる。」
カケル君は前を向いたまま、うつろな表情で言った。
あたしは胸がキュンとなった。
「なんにもいらないよ。」