眼鏡越しの恋
放送室のマドンナ


『・・・・・以上。本日は宮野祥子がお送りしました。お付き合いありがとうございました』


~♪ピンポン~パンポン♪~


「今日も“マドンナ”は美声だったな~」


「ホント、めちゃくちゃいい声。サイコー!」


「あの落ち着いた大人な話し方も、グッとくる!!」


昼休み、昼食を食べ終わって思い思いに過ごす生徒達。
週に3回の放送委員が行う“ランチ放送”。
それが終わって、本日の担当の放送委員の女子生徒が終わりの挨拶を聞いていた男子生徒達が「はぁ~」と溜息を吐いた。


「けど・・・・・・サイコーに声が言い分、残念だよなぁ」


誰かがボソッと呟いた言葉に、他の男子生徒達も一様に深く頷いた。


「あの見かけ・・・ホント、ある意味詐欺だろ」


「お前、そこまで言うのは酷いだろ」


そう突っ込む生徒も笑っているから、本音は同じなんだろう。


「あーあ・・・宮野祥子。あの声にピッタリの美人なら、ソッコー襲うのに」


「アイツ相手じゃ、絶対ないな」


「だな・・・・・」


「「「ああ、“放送室のマドンナ”・・・本人はなんであんなに残念なんだよ!!」」」


毎回のように繰り返されるこの会話。
当の本人・・・私、宮野祥子は放送室にいるから直接聞いたりはしないけど、でもそんな風に言われていることは知っている。


彼らの言う“残念”の意味も。

< 1 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop