眼鏡越しの恋


“美人”って誰のこと?


勿体ないって・・・・・何が??



「素顔の宮野は美人だろ」


瀬能君は当たり前のことだと言うみたいに、はっきりそう言った。



いやいやいや、瀬能君は目が悪いのか!?



「私は美人なんかじゃない。みんなが言うように“残念”な容姿で・・・」


「お前、自分の顔、鏡で見たことねぇの?世間一般ではお前みたいなのを“美人”って言うんだぜ」


「・・・・・・・・」


瀬能君が呆れたような声で言う言葉に私は言葉が出なくなる。
相変わらず距離があって、瀬能君の表情はわからない。
どうして瀬能君がこんなことを言うのかも理解できなくて。
私の鼓動はドキドキと嫌な動機を生む。




「・・・違う。私は美人なんかじゃない。私は・・・不細工だ」




心の奥に押し込んでいたはずの遠い記憶が甦ってくるような感覚に、私は胸が苦しくなって顔を歪めて俯いた。




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