魔法のキス
いつの頃からか、お互いの気持ちや想いや、やりたい事などがすれ違いというかバラバラになってきているように感じた。
「雄馬、今日は誕生日なんだから喧嘩はやめようよ」
「別に喧嘩してるつもりはないよ」
顔が怒ってるじゃないの。
「私はどうすれば良かったの?女性だけのシェアハウスに代わればいいの?でもね、今のところは防犯カメラもついてるし、セキュリティ万全なの。それにね、何故女性だけのシェアハウスにしなかったかというと……ねぇ、ちゃんと話せるところに行こうよ」
お互いもっとちゃんと話さなければダメだ。
「じゃ、俺のアパートに行こう」
私は雄馬について雄馬のアパートに行った。
雄馬の住んでるアパートは、坂口さんのアパートほどではないが、やはりかなり古いアパートのようだった。
雄馬はずっと黙ってる。
私も黙って部屋に入る。
6畳の部屋がひとつ。
畳ではない。
小さなベッドと小さな机で、もう部屋がいっぱいになっている。
話すと言ってもベッドの上に座るしかなさそうだ。
「ほら、ジュース。このままでいいか?」
缶ジュースを小さな冷蔵庫から持ってきてくれた。
「うん、ありがと。あのね、さっきの続きなんだけど。女性だけってうまくやるのが難しいのもあるし、禁止になっていても部屋に彼氏を泊めたりしちゃうものなのよ。それでも変わった方がいいの?」
「わからないよ。俺には。普通のアパートじゃダメなんだろ?」
「私のワガママでマンション出たからね。雄馬は私の事信用できない?私たちお互いのこと信用するしかないんじゃないの?」
「お前さ、自分のこと大人になったと思ってるかもしれないけど、そんな簡単に大人になんかなれないぞ。なんか勘違いしてねぇか?」
雄馬の口から出た言葉とは思えなかった。
「あっそ、わかったわよ。もういい。そんな言われ方されるなんて思わなかったわ。帰る!」
「そういうところが子供なんだよ!」
私はアパートを飛び出した。
ひどいひどいひどい!
駅まで行っても雄馬は追いかけて来なかった。
もう終わりなのかな……。
こんな簡単なものだったの?
悲しくて悔しくて泣きながら電車に乗り込んだ。