蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
そんなこんなで無事用を足した冴子。

水を流し、個室から出て、手洗いの所で水道の蛇口を捻る。

特に問題なく水も出た。

こんな建物の中だ。

トイレは出来る時に済ませておかなければならない。

雛罌粟さんにも済ませておくように勧めておくべきだろうか。

そんな事を考えながら手を洗い、蛇口を閉め、顔を上げた時だった。

目の前の鏡。

そこに映る冴子の顔。

その隣に。

「!!!!!!」

掻き乱した長い黒髪、両眼球を刳り貫かれて空洞になった眼でこちらを見ながら薄笑いを浮かべる、蒼白い顔の女が映り込んでいる!

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