蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「相変わらず仕事がないのか。この間矢沢さんが依頼を受けたんじゃないのか?」

揃って食事をとりながら夏彦が言う。

「私立探偵は必要経費が多いんだよ」

我が物顔で他人の買ってきた牛丼をかっ込む耕介。

「そういう冴子達はどうなんだ、久々の学校は」

サンドイッチを頬張りながら省吾が言う。

「ええ、しばらく会ってなかった友達ともお話できて、楽しいですよ」

冴子が笑みを浮かべる。

「雛罌粟はどうだ?」

「…ん…」

耕介の問いかけに、雛罌粟は咀嚼したサンドイッチを飲み込む。

「二学期早々言い寄られたけど…全部断った…」

相変わらずのようである。

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